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GPAI行動規範とは|署名企業と『適合推定』をわかりやすく

GPAI行動規範の解説アイキャッチ。署名企業と『適合推定』 AI

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の適法性の判断は必ず専門家にご確認ください。最終更新: 2026年7月31日

3行でわかる GPAI行動規範

  • EU AI Actの汎用AI(GPAI)義務を守るための任意ガイドライン。2025年8月にEU委員会が承認。
  • 署名すると義務への「適合推定」が得られ、コンプライアンスの近道になる。
  • OpenAI・Google・Anthropic等が署名、Metaは署名拒否と対応が分かれている。

EU AI Actの汎用AI(GPAI)規制には、「GPAI行動規範(Code of Practice)」という任意のガイドラインが用意されています。署名するかどうかで各社の姿勢が分かれ、実務にも影響します。本記事はこの行動規範の中身と、署名の意味を整理します。制度の全体像はEU AI Act 完全ガイドを参照してください。

GPAI行動規範とは、GPAI義務を守るための任意ガイドラインである

GPAI行動規範は、汎用AIモデルの提供者がEU AI Actの義務を満たすための、EU主導の任意ガイドラインです。2025年7月10日に公表され、8月2日にEU委員会が承認しました。

EU AI ActはGPAI提供者に「技術文書の整備」「著作権指令の遵守」「学習データ概要の公表」などを求めます。ただし法律の条文だけでは、実際に何をどこまでやれば適合なのかが分かりにくいものです。行動規範は、その具体的な実践方法を示す”手引き”の役割を担います。義務そのものは2025年8月2日から適用済みで、行動規範はその守り方を補う位置づけです。

署名すると何が得られるか — 「適合推定」

署名は任意ですが、署名した事業者は法律のGPAI義務に「適合しているとみなされる(presumption of conformity)」効果を得られます。これがコンプライアンス上の大きなメリットです。
GPAI行動規範の公表・承認・義務適用のタイムライン図解
▲ 行動規範の位置づけ(編集部作成の図解)。

「適合推定」とは、規制当局から見て「この事業者はルールを守っている」と一応みなしてもらえる状態です。署名しない場合でも法律を守ればよいのですが、その場合は自力で適合を証明する負担が重くなります。行動規範は複数の章で構成され、安全・セキュリティなどのテーマ別に実践事項がまとめられています。企業にとっては、個別に対応を組み立てるより、規範に沿う方が効率的になり得ます。EU AI Actの罰則は売上高連動で重いため(詳細はピラー記事)、適合を早く固める意味は小さくありません。

主要AI各社の対応は分かれている

OpenAI・Google・Anthropic・Microsoft・Mistral・Amazon・IBMが署名。xAIは一部の章のみ、Metaは署名を拒否し、中国系の主要各社も未署名です。
GPAI行動規範への署名状況(署名・部分署名・拒否)の図解
▲ GPAI行動規範への対応状況(2025年8月時点/各報道に基づく編集部整理)。
GPAI行動規範への対応状況(2025年8月時点/出典: 各報道・Wikipedia 2026年)
対応 事業者
署名 OpenAI/Google/Anthropic/Microsoft/Mistral/Amazon/IBM
部分署名 xAI(安全・セキュリティ章のみ)
署名拒否 Meta(2025年7月表明)/中国系(Alibaba・Baidu・DeepSeek 等)

署名は「規制に前向き」というシグナルにもなり、EU市場を重視する企業ほど署名する傾向がうかがえます。一方で、規範の内容が事業戦略や表現の自由と衝突すると考える立場からは、あえて署名しない選択もあります。署名状況は各社の交渉や方針で今後も動き得るため、鮮度に注意して最新情報を確認してください。

日本の読者にとっての意味

EU向けにGPAIモデルを提供する日本企業には署名検討の余地があります。また、海外の基盤モデルを使う日本企業にとって、提供元が署名済みかは”調達時の信頼シグナル”になります。

自社が基盤モデルを開発・提供している場合、行動規範への署名は適合推定という実利につながります。一方、多くの日本企業は海外の基盤モデルを組み込んで使う立場です。その場合でも、利用しているモデル提供者が行動規範に署名しているかは、コンプライアンス・リスクを測る手がかりになります。取引先や欧州顧客から「使っているAIは適合しているか」を問われる場面が増えると考えられるため、調達基準やベンダー選定の観点に「行動規範への対応状況」を加えておくと安全です。日本国内には同等の一律制度は2026年7月時点でありませんが、EUの動きは事実上の世界標準として波及します。

ユースケース①:基盤モデルを提供するAI企業

EU市場向けにモデルを提供するなら、行動規範の各章に沿った体制整備と署名を検討し、適合推定を得てコンプライアンスコストを下げる。

ユースケース②:海外AIを調達する情シス・購買担当

ベンダー選定チェックに「利用モデル提供元が行動規範に署名しているか」を追加し、非署名の提供元はリスクを個別評価する。

次に取るべき行動(チェックリスト)

  • □ 自社がGPAI提供者に該当するか(EU市場向けか)を確認する
  • □ 該当するなら、行動規範の各章と署名の要否を検討する
  • □ 使用中の基盤モデル提供者が署名済みかを確認する
  • □ 調達・ベンダー選定基準に「行動規範対応」を組み込む

よくある質問(FAQ)

Q. 署名しないと違法ですか?

A. 行動規範は任意で、署名しないこと自体は違法ではありません。ただし署名すると義務への「適合推定」が得られ、コンプライアンスの負担が軽くなります。

Q. いつからのものですか?

A. 2025年7月10日に公表され、2025年8月2日にEU委員会が承認しました。GPAI義務自体は2025年8月2日から適用済みです。

Q. 日本企業も関係しますか?

A. EU向けにGPAIを提供する場合は署名検討の余地があります。海外モデルを使う場合も、提供元の署名有無が信頼の目安になります。

あわせて読みたい

制度の全体像・罰則・タイムラインは → EU AI Act 完全ガイド

既存モデルの移行期限は → EU AI Actの2027年問題

出典

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