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SaaSを解約・乗り換える前にデータを取り出す手順:エクスポートの落とし穴とロックイン回避(2026)

SaaS解約前のデータ取り出しのアイキャッチ。①出ないものがある、②権限の範囲しか出ない、③保存義務は解約後も残る、の3点を並べた図解で、2番目が強調されている。 SaaS
この記事の結論(先に3行)
  • SaaSの解約で失うのは「使う権利」だけではありません。エクスポートは全部が出るわけではなく、既定の書き出しではコメント・権限・共有リンク・自動化の設定が落ちがちです。ただし形式の選び方で残せるものもあります(Notionは書き出し形式をHTMLにするとコメントも出ます)。何がどう出るかを、契約を止める前に確認します。
  • 取り出せる範囲はプランと、作業する人のアクセス権限で変わります。Slackはプランによってダイレクトメッセージが対象外、Notionはエクスポートする人が見られないページは出力に含まれません。管理者が押せば全部出る、ではありません。
  • 日本の会社では税法上の保存義務が解約後も残ります。請求書や領収書をSaaS上でやり取りしていた場合、法人なら原則7年です。解約前に自社側へ取り出しておく必要があります。

使わなくなったSaaSを解約したら、過去のやり取りが一切見られなくなった。乗り換え先にデータを移したつもりが、コメントや添付ファイルだけ抜け落ちていた——SaaSの本数が増えた会社ほど、この事故が起きます。この記事は、SaaSを解約・乗り換えるときに、必要なデータを確実に手元へ取り出す手順を解説します。対象は、情シス専任がいない、あるいは兼任で回している中小〜中堅企業の管理部門・情シス・経理の方です。

契約や料金のムダを洗い出す作業(棚卸し)についてはSaaSの棚卸しでムダな出費を減らす手順で解説しています。本記事は、その先の「解約すると決めた後、実際に契約を止めるまでの間に何をするか」を扱います。

最終更新: 2026年9月4日/本文で参照した公式ドキュメント・法令・国税庁の資料は同日に原文で確認しています。各SaaSの仕様・プラン内容は変更されるため、実施前に必ず各公式でご確認ください。データの削除・解約は取り返しがつきません。

なぜ「解約してから」気づくのか

原因は3つ。解約を進める人とデータの中身を知る人が違う、エクスポートは全部が出ると誤解されている、そして契約は止められても保存義務は止まらない。この3つが重なります。

解約時の事故は、注意力の問題ではありません。解約の意思決定と、データの実態が別の場所にあることから起きます。典型的にはこうです。

  • 進める人と知っている人が違う: 契約を止める判断は経理や総務が進めますが、「そのツールに何が入っているか」を知っているのは現場です。止める前に現場へ確認する導線がないと、必要なデータが特定されません。
  • 「エクスポート」を全件バックアップだと思っている: 実際には、出力される範囲は製品・プラン・操作する人の権限で変わります。ボタンを押して安心した結果、後から欠落に気づきます。
  • 更新日に追われる: 自動更新の直前に慌てて解約を決めると、取り出しと検品の時間が取れません。棚卸しの段階で更新日を押さえておく必要があります。
SaaS解約前の5ステップを順に示した図解。①中身を洗い出す→②取り出せる範囲を確認→③エクスポートする→④検品する→⑤解約と記録、の順に並び、4番目の検品が強調されている。取り出してから止める、と添えられている。
SaaS解約前の5ステップ(図解: jisalab編集部作成/2026年9月4日時点)。押さえどころは、エクスポートではなくその後の検品。

失うものは、ファイルだけではありません。誰がいつ何を決めたかという文脈——コメント、変更履歴、担当者の割り当て、承認の記録——が消えると、後から経緯をたどれなくなります。トラブル対応や監査で効いてくるのはこの部分です。

エクスポートで「出ないもの」を先に知る

製品ごとに、出るものと出ないものが公式に書かれています。共通して落ちやすいのはコメント、権限設定、共有リンク、自動化の設定です。添付ファイルの扱いも要注意です。

ここが本記事の核心です。主要な製品の公式ドキュメントを実際に読むと、「エクスポート=全件バックアップ」ではないことがはっきりします。しかも制約は製品ごとにバラバラで、「単位と形式」「プランと権限」「期限と所要時間」の3つの軸で効いてきます。以下は各社の公式記載にもとづく整理です。

主要SaaSのエクスポート仕様(各社公式ドキュメントより・2026年9月4日確認)
製品 書き出しの単位と形式 プラン・権限の条件 期限・所要時間
Slack ワークスペース単位。JSON形式。公式の表記は「パブリックチャンネルからメッセージとファイルのリンク」 フリー・プロはパブリックチャンネルのみ。パブリック・プライベート・ダイレクトメッセージを含む書き出しは、フリーとプロでは「利用不可」。上位プランでも申請と承認が前提。フリープランはそもそも履歴が90日制限で、書き出しも「過去90日間のファイルへのリンクのみ」と注記されている 書き出したファイルの有効期限についての記載は、エクスポートのヘルプには見当たらず
Notion ページ/データベース単位、またはワークスペース全体。Markdown・CSV・HTML・PDF。HTMLを選ぶとコメントも書き出せる エクスポートする人がアクセスできないページは出力に含まれない。チームスペースの設定によって出力できない場合がある。ワークスペース全体のPDF書き出しはBusiness・Enterpriseプラン 処理に最大30時間。届くダウンロードリンクは7日で失効
HubSpot レコード単位。CSV・XLSX等から形式を選択 エクスポート権限が必要。通話やメモなどの活動は別の手順 ダウンロードリンクは30日で失効
Airtable グリッドビュー単位でCSV。ビューに表示されている全フィールド値が対象 レコードのコメント、フィールドの説明、拡張機能内だけに保存されたデータは対象外 添付はファイル名とURLで出力され、そのURLは数時間で失効

記載は各社公式ドキュメントの2026年9月4日時点の内容です。仕様は変更されるため、実施前に必ず自社のプランで公式を確認してください。各製品の機能や料金の詳細は、Slack/Notion/HubSpot/Airtableの各レビューをご覧ください。

ここで挙げた4製品は、いずれも社内の共同作業に使うツールです。会計・請求書系のSaaS(国内サービスを含む)は、この表には入っていません。電子帳簿保存法の保存要件に対応した保存機能を備えている一方、解約後にその画面を開けるかどうか、どの形式で持ち出せるかは各社で異なります。後述するとおり、税法上の保存義務が絡むのはまさにこの領域なので、自社が使っている会計・請求SaaSについても、上の表と同じ3つの軸(単位と形式/プランと権限/期限と所要時間)を公式ヘルプで必ず確認してください。

表の中で、実務への影響が最も大きいのはNotionの一文です。公式ヘルプは次のように書いています。

“Pages that the exporter doesn’t have access to, such as private pages of other users, will not be included in the export.”
(編集部訳: 他のユーザーのプライベートページなど、エクスポートを実行する人がアクセスできないページは、エクスポートに含まれません)

つまり「管理者が全体を書き出したから全部揃っている」とは限りません。作業した人の見える範囲が、そのまま出力範囲になります。退職者のページが残っている場合や、部署ごとにプライベート運用している場合は、ここで大きく欠落します。取り出す前に、誰の権限で実行するかを決める必要があります。

もうひとつ、Notionには救いになる記載もあります。公式ヘルプは「When you export as HTML, you can also export comments at both the page and block levels.」(HTMLとしてエクスポートする場合、ページとブロックの両方のレベルでコメントもエクスポートできます)と書いています。MarkdownやCSVでは落ちるコメントが、形式をHTMLにするだけで残るということです。書き出し形式は「読みやすさ」ではなく「何が一緒に出るか」で選んでください。

期限にも製品差があります。Airtableの公式は“Attachment fields will be included in the CSV file as a filename and URL.”(添付フィールドはファイル名とURLとしてCSVファイルに含まれます)としたうえで、CSVエクスポートで得られる添付URLは数時間で失効すると明記しています。CSVを保存しただけでは、後から添付を開けません。URLが生きているうちに実体を落とす必要があります。

HubSpotの“Download links to export files will expire after 30 days.”(エクスポートファイルへのダウンロードリンクは30日後に失効します)も同種の注意点です。書き出しを実行した事実と、手元にファイルがある状態は別物です。「実行した」ではなく「自社のストレージに保存し終えた」までを完了とするのが、事故を防ぐ線引きになります。

製品を問わず落ちやすいものを、まとめておきます。

  • コメント・メンション: 議論の経緯。CSVやMarkdownには乗らないことが多い(ただしNotionはHTML形式なら出力できます。形式を変えて試す価値があります)
  • 権限・共有設定: 誰が何を見られたかの情報。移行先で作り直しになる
  • 外部共有リンク: 社外に配ったURL。解約で一斉に切れる
  • 自動化・連携の設定: 他ツールとの接続、通知ルール、Webhookの宛先
  • 添付ファイルの実体: リンクだけが出力され、本体は別に取得が必要な場合がある
  • 変更履歴・版: 誰がいつ直したかの記録
  • 本体とは別扱いの記録: たとえばHubSpotでは、通話やメモなどの活動はレコードの書き出しとは別の手順とされています。「レコードを出したから顧客とのやり取りも全部出た」とは限りません
  • 埋め込み表示: 他ツールの内容を表示していた部分は、書き出すと空になりうる

解約前にやることを5ステップで固定する

手順は「①中身を洗い出す→②取り出せる範囲を確認→③エクスポートする→④検品する→⑤解約と記録」。ボタンを押す前後より、④の検品に時間を配分してください。

① そのツールに何が入っているかを洗い出す

解約を決めた人ではなく、実際に使っていた人に聞くのが出発点です。管理画面を眺めても、どのデータが業務上必要かは判断できません。次の4種類で聞くと漏れが減ります。

  1. お金に関わるもの: 請求書、領収書、見積、契約書のやり取り(保存義務の判定に直結)
  2. 顧客・取引先に関わるもの: 連絡先、案件の経緯、問い合わせ履歴
  3. 社外に出しているもの: 共有リンク、公開ページ、フォームのURL
  4. 他ツールとつながっているもの: 自動連携、通知、埋め込み

② 取り出せる範囲を、プランと権限の両方で確認する

前章の表のとおり、範囲はプランと作業者の権限で決まります。次の順で公式ドキュメントを確認してください。

  • 自社の契約プランで、その書き出しが使えるか(上位プラン限定でないか)
  • 申請や承認が要らないか(Slackのように事前申請が前提の書き出しもあります)
  • 誰の権限で実行すべきか(全体が見える人か、部署ごとに分担するか)
  • 出力形式は何か(CSV/JSON/Markdown/PDF)。乗り換え先が読める形式か

ここで「上位プランでないと出せない」と分かることがあります。その場合の選択肢は次章でまとめて扱いますが、1か月だけプランを上げれば済む、という単純な話にはならないことだけ先に押さえてください。SaaSの多くはユーザー1人あたりの課金で、しかもアップグレードはワークスペース全体に及びます。費用は「1プラン分」ではなく在籍人数×1か月分です。

③ エクスポートを実行する

実行から手元に届くまでに時間がかかることを織り込んでください。Notionの公式ヘルプは“Exports can take up to 30 hours to process, depending on the size of the workspace.”(ワークスペースの規模によっては、エクスポートの処理に最大30時間かかることがあります)と明記しています。解約日の前日に着手して間に合う作業ではありません。

そのうえで、範囲と期間を欲張らずに分割すると扱いやすくなります。年度単位、プロジェクト単位に分けて、それぞれ完了を確認してから次に進みます。届いたリンクにも期限があるので(前章のとおりNotionは7日、HubSpotは30日)、受け取ったらその日のうちに自社のストレージへ移すのを習慣にしてください。

④ 検品する(ここが本番)

最も飛ばされやすく、最も効く工程です。出力されたファイルを開いて、中身が想定どおりかを確かめます。確認する観点は次の5つです。

  1. 件数: 管理画面の件数と、CSVの行数が合っているか(ヘッダー行の分を差し引く)
  2. 期間: 最も古いレコードと最も新しいレコードの日付が、想定した範囲か
  3. 添付: リンクではなく実体が手元にあるか。開けるか
  4. 文字と書式: 日本語が化けていないか。表計算ソフトで開くと文字コードの違いで化けて見えることがありますが、元データが壊れているとは限りません。文字コードを指定して読み込み直すか、テキストエディタで中身を確認してください。日付や先頭ゼロが自動変換されることもあるため、原本のCSVは上書き保存せず、コピーで検品します
  5. 抜け: 特定の人・部署・プロジェクトのデータだけ丸ごと無いということはないか

5番目は、権限による欠落を捕まえるための確認です。「合計件数は合っているが、特定部署だけゼロ件」という形で現れます。件数の合計だけ見ていると気づけないので、部署や担当者で1回グループ化して眺めてください。

⑤ 解約し、記録を残す

検品が終わってから解約します。その前に、請求書や領収書など、保存期間が残っている電子取引データがないかを経理と確認してください(理由は後述の「日本の会社での勘所」で扱います)。あわせて、取り出したデータの保管場所・取得日・取り出せなかったものを1〜2行で記録してください。「Slackは2026年9月4日にパブリックチャンネル分をJSONで取得、共有ドライブの〇〇に保存。DMはプラン対象外のため取得せず」といった粒度で十分です。これがないと、後で「どこにあるか」を誰も答えられなくなります。アカウント側の締め方は入退社でSaaSアカウントを取りこぼさない手順と同じ考え方で、遮断より先に移管を済ませます。

取り出せないと分かったときの3つの選択肢

上位プランへの一時的な変更、解約日の延期、そして取り出さない範囲を決めて記録すること。費用はユーザー数×1か月分になるため、金額だけで即断しないでください。

調べた結果「いまのプランでは出せない」「権限が足りない」と分かることがあります。ここで慌てて解約日を迎えるのが最悪の結末なので、選択肢を3つ持っておくと落ち着いて判断できます。

選択肢1: 1か月だけ上位プランに上げる

最初に検討する価値はありますが、費用の見積もりを間違えやすいので注意してください。多くのSaaSはユーザー単位の課金で、アップグレードはワークスペース全体に適用されます。たとえばSlackのビジネスプラスは、公式の料金ページ(2026年9月4日時点)でユーザー1人あたり月額2,160円(月払い)、年払いなら1,920円と表示されています。30人の会社が1か月だけ月払いで上げるなら6万円台です。「数千円で済む」という前提で稟議を書くと通りません。なお料金ページには期間限定の割引価格が併記されることがあり、税の扱いも含めて実際の請求額は見積もりで確認してください。

さらに、プランを上げただけでは即座に使えない書き出しがあります。Slackの公式ヘルプは、プライベートチャンネルやダイレクトメッセージを含む書き出しについて、ワークスペースのオーナーと組織のオーナーによる申請が必要だとしたうえで、「申請にはワークスペースのプライマリーオーナーによる承認が必要なため、申請審査に進む前に、サポートチームからメールで連絡があります」と説明しています。社内の承認と、提供元での審査という2段構えです。解約日から逆算し、余裕を持って着手してください。

選択肢2: 解約日を延ばす

まず、年間契約の途中なら、この選択肢は不要です。解約日は動かせない代わりに、期日まで時間があります。落ち着いて取り出せばよく、慌てる理由がありません。

問題は月次契約で、次の更新日が数日後に迫っているケースです。ここでは1か月分の利用料を追加で払って解約を1か月ずらす方が、上位プランへの変更より安く済むことがよくあります。前章のとおり書き出しの処理自体に時間がかかる製品もあるため、日程の余裕はそのまま安全余裕になります。「今月中に解約する」を目的化しないでください。1か月分の利用料は、失ったデータを作り直す工数よりたいてい安く済みます。

選択肢3: 取り出さない範囲を決めて、記録に残す

すべてを取り出せないと分かったときに、「取り出さない」と決めるのも正当な判断です。重要なのは、それを曖昧にしないことです。「何を、なぜ取り出さなかったか」を1行残すと、後から必要になったときに、探すべきか諦めるべきかがすぐ分かります。

ただし、この選択肢を選べないデータがあります。税法上の保存義務が残っているものです。後述の「日本の会社での勘所」で扱います。

次のツールで同じことを繰り返さない:契約前の4つの確認

出せないデータを作らないのが最良の対策です。契約前に「出せる形式」「出せる人」「出せる範囲」「出したものの期限」の4点を確認しておくと、乗り換えの自由が残ります。

ここまでは「解約すると決めた後」の話でした。しかし本当に効くのは、次に導入するツールを選ぶときに、出口を先に見ておくことです。特定のツールから抜けられなくなる状態(ロックイン)は、機能の多さではなくデータの取り出しにくさから生まれます。

導入を検討している段階で、公式ドキュメントを開いて次の4点を確認してください。営業担当に口頭で聞くのではなく、公開されているドキュメントに書かれているかを見るのが要点です。書いていない機能は、あとから前提にできません。

  1. 出せる形式: CSV・JSON・Markdownなど、他のツールで読める汎用形式があるか。独自形式だけなら要注意です
  2. 出せる人: 管理者のみか、一般利用者も自分の分を出せるか。事前申請が要るか
  3. 出せる範囲: 契約プランで全データが対象になるか。上位プラン限定の書き出しがどれか
  4. 出したものの期限: 生成したファイルのダウンロード期限、添付URLの有効期限があるか

この4点は、そのまま選定時の比較項目に足せます。導入時の検討事項として料金や機能と並べておくと、後で慌てずに済みます。選定の進め方全体はSaaS選定・導入の進め方で解説しています。すでに使っているツールについても、いま同じ4点を調べて棚卸し表に書き足しておくと、いざ解約するときの作業が半分になります。

次に取るべき行動

  • □ 解約候補のSaaSについて、実際に使っていた人に「何が入っているか」を4分類(お金・顧客・社外共有・連携)で聞く
  • □ 自社のプランでどこまで書き出せるかを、各製品の公式ドキュメントで確認する(申請の要否も)
  • □ 誰の権限でエクスポートを実行するかを決める(見えない範囲は出力されない前提で分担する)
  • □ 上位プランでしか出せないなら、費用を「在籍人数×1か月分」で見積もり、解約日を1か月延ばす案と比べて安い方を選ぶ。申請・承認が要る書き出しは審査の日数も見込んで逆算する
  • □ 添付は実体を手元に落とし、書き出しの処理時間とダウンロードリンクの期限を確認して、受け取った日のうちに自社のストレージへ移す
  • □ 書き出し後は必ず検品する(件数・期間・添付・文字化け・部署単位の抜け)
  • □ 請求書・領収書などの電子取引データは保存期間が残っていないかを経理と確認し、取り出したデータを「保存義務あり/業務参照用/不要」に3分類して保管場所を決める
  • □ 解約日、取得したデータ、取得できなかったものを1〜2行で記録に残す
  • □ 次に導入するツールを選ぶときは、契約前に「出せる形式・出せる人・出せる範囲・出したものの期限」を公式ドキュメントで確認する

よくある質問(FAQ)

解約した後でも、データを取り出せますか?

当てにしない方が安全です。まず押さえておきたいのは、本記事で参照した4製品のエクスポート関連ドキュメントには、いずれも「解約後に何日データを保持するか」は見当たらないという点です。この情報は書き出しの説明ページではなく、契約条件やプライバシーポリシー側に置かれていることが多く、プランによっても変わります。加えて、上位プランの機能だった書き出しは、プランを落とした時点で使えなくなります。つまり「解約してから考える」は、確認する手段ごと失う可能性がある選択です。契約が生きているうちに取り出しを終えるのが原則で、間に合わないなら先に解約日を延ばせないか検討してください。

乗り換え先が「移行ツール」を用意していれば、自分で書き出す必要はありませんか?

移行ツールがあっても、別途の書き出しをおすすめします。移行ツールは移行先で使う形に変換することが目的なので、移行先に対応する項目がないデータは落ちるのが自然です。コメント、履歴、権限設定などが該当します。また、移行がうまくいかなかったときに戻る先が必要になります。移行ツールでの移送とは別に、元のSaaSから生の書き出し(CSVやJSON)を1本取って保管しておくと、後から参照できます。

エクスポートしたデータを保存しておけば、電子帳簿保存法の要件は満たせますか?

取り出しただけで要件を満たすとは限りません。国税庁の一問一答は、電子取引のデータ保存制度によって保存する電子データについて「各税法に定められた保存期間中、保存時に満たすべき要件に沿って適切に保存する必要があり」と述べています。ここでいう要件には真実性の確保と検索機能の確保が含まれ、その内容は同資料の問18で説明されています。したがって、書き出したファイルを共有フォルダに置いただけの状態が要件を満たすかどうかは、保存の仕方によって変わります。取り出しは前提条件であって、ゴールではありません。自社の保存方法が要件を満たすかどうかの判断は、顧問税理士にご確認ください。なお、取り出したデータを「保存義務あり/業務参照用/不要」の3つに分けておくと、要件に沿った保存が必要な範囲を絞り込めます。

Slackの会話も保存義務の対象になりますか?

やり取りの中身によります。チャットツール上で請求書や領収書のデータを授受していれば、その部分は電子取引に該当しうるため、保存期間の確認が必要です。国税庁の一問一答も、クラウドサービスを利用して請求書等を受領した場合が電子取引に該当することを示しています。一方、日常の業務連絡そのものが一律に保存義務の対象になるわけではありません。「そのツールで金銭に関わる書類をやり取りしたか」を基準に、経理と一緒に判定してください。本記事は個別の適法性を判断するものではないため、最終的な判断は税理士等の専門家にご確認ください。

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そもそも何を解約すべきかを洗い出すなら → SaaSの棚卸しでムダな出費を減らす手順

契約前に確認しておけば解約時に困らない項目は → 海外SaaSに個人データを預ける前のチェック

出典・参考

  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和7年6月)より、問17(電子取引データの保存期間)および参考表「国税関係帳簿書類の保存期間」の法人の欄、問28(クラウドサービスの利用や、サーバを海外に置くこと)、問45(ECサイト上で確認できる領収書等データのダウンロードの要否)、問7(クラウドサービスを利用して請求書等を受領した場合)、問5の解説ニ|国税庁(2026年9月4日にPDF原文で確認)
  • 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第22条(データ内容の正確性の確保等)|e-Gov法令検索(2026年9月4日にe-Gov法令APIで条文取得)
  • Slack「ワークスペースのデータをエクスポートする」(Slackヘルプセンター)より、プラン別のエクスポートオプション表、フリー・プロプランの手順および注記|Slack(2026年9月4日に原文で確認)
  • Notion「Export your content」(Notionヘルプセンター)より、書き出し形式、アクセス権限と出力範囲の記述、Include subpagesオプション、フォームビューの制限|Notion(2026年9月4日に原文で確認)
  • HubSpot「Export your records」(HubSpotナレッジベース)より、必要な権限、ダウンロードリンクの有効期限、ファイルサイズと列数の制限|HubSpot(2026年9月4日に原文で確認)
  • Airtable「Download a view to CSV」(Airtableサポート)より、出力対象、添付フィールドの扱いとURLの有効期限、出力に含まれない情報|Airtable(2026年9月4日に原文で確認)
  • 本記事は業務手順の一般的な解説であり、法令の解釈を確定させるものではありません。保存義務の有無・期間の判断は顧問税理士等の専門家にご確認ください。各製品の仕様は変更されるため、実施前に各公式でご確認ください。

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本記事に登場する製品名・ロゴは各社の商標または登録商標です。掲載の図解はjisalab編集部が作成したものです。英文の公式資料は原文と編集部訳を併記しています。データの書き出し・解約は取り返しがつかない場合があるため、必ず自社環境で確認のうえ実施してください。



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