- 週報・月次報告でAIに任せるのは文章を書く部分だけにします。数字は今使っている集計シートで確定させた表を渡し、AIには計算させません(編集部の設計)。
- 手順は4つ。①報告書を3つの部品に分ける ②数字は表計算で確定させる ③型と指示文を置き場所に固定する ④見本を決め、毎月は差分だけ渡す。
- すでに表計算で集計している人の場合、月次1本で縮むのは月30分ほどで、初回の85分は3か月目に取り返す、というのが編集部の試算です。週報は週5分と小さめです。
この記事は、毎月の部門報告を書いている課長・マネージャー、全社分を取りまとめる経営企画や営業事務の担当者に向けて、定例の報告書をAIで下書きする段取りをまとめたものです。前提にしているのは「集計はすでにExcelやGoogleスプレッドシートでしていて、文章は手で書いている」という人です。
最終更新: 2026年9月21日/本文で参照した総務省の資料と各社の公式ヘルプは、同日に原文を取得して確認しています。本文中の「(編集部)」は、出典の記載ではなくjisalab編集部の設計・解釈・試算であることを示します。各サービスの機能・提供条件は変更されるため、導入前に最新の公式資料をご確認ください。
AIに任せるのは「文章を書く部分」に絞る
総務省「令和8年版 情報通信白書」は、日本企業の業務類型ごとの生成AIの活用について次のように書いています。
「業務類型ごとの生成AIの活用状況をみると、日本においては「議事録・メール作成補助」での活用を回答した割合が約7割と最も高く、次に「営業・販売」で約6割、「社内ヘルプデスク」で約5割と続いた。導入効果を実感すると回答した割合については「議事録・メール作成補助」が約7割となり、他の類型に比べて顕著に高い結果となった」
同じページで公開されている図表のデータ(CSV)では、効果を感じる割合は「議事録・メール作成補助」が72.3%です。業務名の付いた残りの12類型は20.1%(経営)〜42.7%(社内ヘルプデスク)です。白書はこの差の理由を書いておらず、「週報・月次報告」という区分もありません。
そのうえで、この記事は月次報告のうちAIに任せる範囲を、議事録やメールと同じ「手元の素材を文章にする作業」に絞ります(編集部)。報告書を次の3つに分け、部品ごとに渡し方を変える設計です。
| 部品 | 例(営業部の月次報告) | AIへの渡し方 | そう分ける理由 |
|---|---|---|---|
| 固定部 | 章立て、各章の書き出しの言い回し、注記 | 雛形として置き場所に保存し、毎回は渡さない | 毎回同じ文言なので、書かせる必要がない |
| 数字部 | 実績、目標、前月比、達成率 | 集計シートで確定させた表を貼る。計算はさせない | 報告書の数字を、集計シートの1か所にそろえるため |
| 説明部(理由) | 数字が動いた理由、主要案件の経過 | 箇条書きのメモを渡し、文章に整えさせる | 素材(メモ)が手元にあり、文章化だけを頼める |
| 説明部(所感・方針) | 所感、来月の重点 | 渡さない。見出しだけ残させ、自分で書く | 読み手が求めているのは書き手の判断 |
白書の数値について。図表の活用状況は3区分(業務プロセスがAI中心に変更/部署内の特定業務で活用/従業員が個人作業の効率化で活用)に分かれており、「議事録・メール作成補助」の3区分を足すと71.2%で、引用の「約7割」と一致します(足し算は編集部)。直前の段落にある「わからない」と回答した対象を除く絞り込みが図表Ⅰ-2-1-7にも同じくかかっているかは、本文からは判別できません。効果を感じる割合も母数の記載がないため、本記事は効果の割合どうしだけを比べ、活用の割合とは足し引きしていません。
手順①〜④:型を1度作り、毎月は差分だけ渡す
手順① 報告書を3つの部品に分ける
直近の報告書を1本開き、全文を上の表の固定部・数字部・説明部に色分けします。営業部の月次報告なら「1. 今月のサマリ」「2. 数値実績」「3. 主要案件」「4. 来月の重点」という章立てと書き出しの言い回しが固定部、表の実額と達成率が数字部です。
塗ってみると、説明部だと思っていた文章の多くが、実は固定部の言い回しだったということがよくあります。固定部が増えるほど、毎月AIに頼む量は減ります。目安は20分です。

手順② 数字は表計算で確定させてから渡す
今の集計シートを開き、報告書に載る数字がすべてシートのどこかのセルに出ているかを確かめます。頭の中や電卓で出していた数字があれば、ここで式にします。
列の例です。A列に項目名、B列に今月の実績、C列に前月の実績、D列に目標を貼るなら、前月比は =B3/C3、達成率は =B3/D3 です。結果は1.05のような小数で出るので、セルの表示形式をパーセントにします(「前月比+5%」と増減で書く様式なら =B3/C3-1)。前月が0の項目は #DIV/0! になるため、=IF(C3=0,"",B3/C3) として空欄にしておきます(=B3/C3-1 や目標が0の項目の =B3/D3 も同様です)。
気をつけたいのは、行や列を足したときです。=SUM(B2:B10) の範囲の内側に行を挿入すれば、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも範囲は自動で広がります。範囲の外(最終行の下など)に足した行は、合計に入らないことがあります。VLOOKUPで取り出す列を番号で書いている場合も、参照範囲の中の取り出す列より左に列を足すと、別の列を拾います(XLOOKUPやINDEX+MATCHなら列番号を固定せずに済みます)。
AIに計算させないのは、報告書の数字を集計シートの1か所にそろえるためです(編集部)。AIが計算すると、シートにない値が下書きに現れ、毎月それを計算し直して確かめることになります。シートに式があれば、確認は「下書きの数字がシートと同じか」の突き合わせで済みます。目安は15分です。
手順③ 型と指示文を置き場所に固定する
固定部の雛形とAIへの指示文を、毎回探さなくてよい場所に置きます。ChatGPTやClaudeには、指示やファイルをひとまとめにしておく「プロジェクト」機能があります。ここではChatGPTとClaudeについて、両社の公式ヘルプの記載だけを並べます。
| 見る点 | ChatGPT(OpenAI公式ヘルプ) | Claude(Anthropic公式ヘルプ) |
|---|---|---|
| 使える人 | ログインした利用者。ただし「subject to plan availability and workspace settings」(プランとワークスペースの設定による)。対象プランには含まれる(モデルやツールの利用枠は通常のチャットと同じく消費) | 無料アカウントを含む全利用者(「available to all users, including those with free Claude accounts」) |
| 無料の場合の上限 | 作れる数は無制限(全利用者について)。ファイルは1プロジェクトあたり5件 | 作れるプロジェクトは最大5件 |
| プロジェクトごとの指示 | 設定できる。そのプロジェクトの中だけで効き、全体のカスタム指示より優先 | 設定できる(「define project instructions for each project」) |
| 他の人との共有 | Free・Go・Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduで可。無料は共同作業者5人・ファイル5件まで | Team・Enterpriseプランのみ |
OpenAIの同じページは、共有プロジェクトの使い道として「Reporting: Store datasets and reports in one project, and return each week to generate updates without starting over.」(データと報告書を1つのプロジェクトに置き、毎週戻って一から始めずに更新を作る)を挙げています。選び方は、1人で試すならどちらでも構いません。部署で共有して試すなら、上の表の共有の行がそのまま基準になります(編集部)。有料プランの中身はChatGPTレビューで扱っています。
置き場所には、雛形と次のような指示文を入れておきます(30分ほど)。
この場所では、営業部の月次報告の下書きを作ります。添付の雛形の章立てと言い回しを変えないでください。数値は私が貼った表の値だけを使い、計算やまるめをしないでください。表で空欄の値は数値を補わず、「(算出なし)」と書いてください。「1. 今月のサマリ」と数字が動いた理由は、私が貼った表と渡すメモの範囲だけで書いてください。所感と来月の方針は私が書くので、見出しだけ残して空にしてください。
「表とメモの範囲だけで」と書くのは、前月の言い回し(「前月に続き堅調」など)が、実際には減った月に残るのを防ぐためです。ChatGPTではプロジェクトの指示が普段のカスタム指示より優先されるので、必要な指定はこの文の中に書き切ってください。
手順④ 見本を決め、毎月は差分だけ渡す
最後に、提出済みの先月分を手順③の雛形に合わせて整え、合格の見本として置き場所に保存します。これで翌月の下書きの良し悪しを、見本と読み比べて判断できます。目安は20分で、ここまでで初回の準備は終わりです。その月の報告書は、このあと毎月の流れで作ります。
翌月からは、今月の数字表と、今月だけの事情を書いた3行ほどのメモを渡します。下書きが出たら、次の3点を確かめてから所感を書き足します。
- 下書きの数字が、集計シートの値と一致しているか
- シートで空欄の値が「(算出なし)」になっていて、数値が埋められていないか
- メモにない事情や、前月の言い回しが残っていないか
工数の試算:すでに表計算を使っている人で月30分
| 工程 | 月次・今 | 月次・この手順 | 週報・今 | 週報・この手順 |
|---|---|---|---|---|
| 集計シートの更新と検算 | 25 | 25 | 10 | 10 |
| 固定部と数字を文章に起こす | 30 | - | 10 | - |
| AIに下書きを作らせる | - | 5 | - | 3 |
| 下書きの数字をシートと突き合わせる | - | 10 | - | 5 |
| 説明部を書く(理由・所感・方針) | 20 | 20 | 10 | 10 |
| 体裁を整える | 20 | 5 | 5 | 2 |
| 合計 | 95 | 65 | 35 | 30 |
「今」は、集計はすでに表計算でしていて、文章は手で書いている場合です。説明部は、理由の文章化をAIに任せても所感と方針は自分で書くため、控えめに時間を変えずに置きました。初回の準備85分(手順①20+②15+③30+④20)は含めていません。月次では初月が85+65=150分で今より55分多く、累計は2か月目で215分対190分、3か月目で280分対285分となり逆転します。12か月では今の1,140分に対し85+65×12=865分で、差は275分(4時間35分)です。週報の型を別に作って同じく85分かかるとすると、逆転は18週目(625分対630分)、52週での差は175分(2時間55分)です。
差が月30分にとどまるのは、今のやり方でも集計は表計算で済んでいると置いたからです。AIが縮めるのは、毎月同じ構成の文章を打ち直す時間と、体裁を整える時間です。週報の差が小さいのは、数字の項目が少なく、自分で書く説明部の比重が大きいと置いたためです(編集部)。したがって先に月次の型を作り、週報の雛形は同じ置き場所に後から足す順番をおすすめします。
日本の読者にとっての意味:個人の工夫を、部署の型にする
白書によれば、活用方針の設問で「わからない」と答えた対象を除くと、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた日本の割合は86.4%で、2024年度の調査から大幅に上昇し、他の3か国との差も縮まりました。一方で業務類型ごとに見ると、日本は他の3か国より「未導入」や「わからない」と答える割合が全体的に高い、とされています。
最も活用が進んでいる「議事録・メール作成補助」について図表のデータを見ると、活用の3区分のうち最も大きいのは「従業員が個人作業の効率化で活用している」の35.2%で、「部署内の特定業務で活用している」が24.7%、「業務プロセスがAI中心に変更されている」が11.3%です。部署や業務プロセス単位の活用は合わせて36.0%で、個人作業とほぼ並んでいます。
個人作業での活用が、部署や業務プロセス単位の活用と並ぶほどあることから、月次報告の型は、個人の工夫を部署の手順に移す題材になる、というのが編集部の見方です。雛形・指示文・見本がテキストとして残るので、担当者が替わっても同じ手順で続けられます。置き場所を部署で共有するなら手順③の表の共有の条件を確かめ、少なくとも雛形と指示文は社内の共有フォルダにも複製しておいてください。
もう1つ、実績の数字や顧客名をAIサービスに入力してよいかは社内のルールによります。ChatGPTについては、OpenAIの同じヘルプが、Free・Plus・Proではプロジェクト内の情報が「Improve the model for everyone」の設定がオンの場合にモデルの学習に使われうる、と書いています(Business・Enterprise・Eduのワークスペースのデータは既定で学習に使わない、としています)。渡す前に設定と社内ルールを確認し、ルールがなければ生成AIの社内利用ルールを作る手順を参考にしてください。各サービスの有料プランや日本語対応はGeminiレビューなどのレビュー記事にまとめています。
次に取る行動
- 直近の月次報告を1本開き、固定部・数字部・説明部の3色で塗り分ける(手順①)
- 報告書の数字が、すべて集計シートのセルに出ているかを確かめる(手順②)
- 実績の数字や顧客名をAIサービスに入力してよいか、社内ルールを確認する
- 来月の報告日の前に、型を作る時間を85分確保する(その月の報告書は別に65分)
よくある質問(FAQ)
数字もまとめてAIに渡して、集計からやらせてはいけませんか?
試すのは自由ですが、この記事の設計では報告書の数字を集計シートの1か所にそろえます。AIに計算させると、シートにない値が下書きに出てくるため、突き合わせでは済まず、毎月その値を計算し直して確かめることになります。一方、表計算の関数をAIに書かせるのは有効です。ただし式もAIの出力なので、人が1度読んで確かめてください。関数の作らせ方はExcel/スプレッドシート作業をAIで速くする手順で扱っています。
無料のままでどこまでできますか?
型を作って毎月回すところまでは、ChatGPTもClaudeも無料で始められます。無料の上限と共有の条件の違いは手順③の表のとおりで、部署で共有して試すなら共有の行が選ぶ基準になります(編集部)。ただしOpenAIのヘルプによれば、ChatGPTのFree・Plus・Proでは、「Improve the model for everyone」の設定がオンの場合、プロジェクト内の情報がモデルの学習に使われることがあります。実績の数字や顧客名を置く前に、この設定と社内ルールを確認してください。
毎週の週報にも同じ手順が使えますか?
使えます。ただし編集部の試算では、週報1本で縮むのは35分から30分への5分で、月次より小さくなります(理由と進め方は工数の試算の節)。会議まわりの雑務を減らす話は会議の雑務をAI×SaaSで自動化するにまとめています。
あわせて読みたい
AIが出した下書きの誤りを提出前に止めるなら → AIの答えを業務で使う前の検証手順
作った型を自分だけのものにせず全社に広げるなら → プロンプトを社内で標準化する手順
出典・参考
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節 1(3)生成AIの業務利用状況より、業務類型ごとの活用状況と効果の実感に関する記述、生成AIを業務で利用している割合(日本86.4%)、日本と他の3か国の比較|総務省(2026年9月21日に原文を取得して確認)
- 同 図表Ⅰ-2-1-7「業務類型ごとの生成AI活用状況と効果の実感(日本)」のCSVデータより、活用状況の3区分の値と、効果を感じる割合(議事録・メール作成補助72.3%、社内ヘルプデスク42.7%、経理・財務29.7%、経営20.1%ほか)|CSV(1)・CSV(2)(2026年9月21日取得)。効果を感じる割合は母数の記載がないため、活用状況の割合と足し引きしていません
- OpenAI Help Center「Projects in ChatGPT」より、プロジェクトの料金(included with every qualifying ChatGPT plan)、作成数とファイル数の上限、プロジェクト指示の効き方、共有できるプラン、無料の共有上限(up to 5 files and 5 collaborators)、共有プロジェクトの使い道(Reporting)、利用枠の扱い(Any credits or usage charges … apply to project chats the same as they do to regular chats)、学習への利用(For ChatGPT Free, Plus, and Pro users, we may use information accessed from projects to train our models if your “Improve the model for everyone” setting is on./Business・Enterprise・Eduは既定で学習に使わない)|help.openai.com(2026年9月21日に原文を確認。ページは同月20日に更新されています)
- Claude Help Center(Anthropic)「What are projects?」より、提供範囲(available to all users, including those with free Claude accounts/Free users can create a maximum of five projects)、プロジェクト指示、共有の対象プラン(Team and Enterprise plans only)。いずれも同ページが「current version」とする現行版のプロジェクトについての記載です|support.claude.com(2026年9月21日に原文を取得して確認)
- 工数の数値、3つの部品への分け方、4手順、指示文、チェック項目は、いずれもjisalab編集部が作成した仮定・設計です。実測に基づくものではありません
本記事に登場する製品名・ロゴは各社の商標または登録商標です。

