- 30人全員に標準の席を配ると、ChatGPT Business(年額課金)は月91,500円、Claude Team(年払い)は月$600(約94,800円)、Microsoft 365 Copilot Businessアドオンは月94,440円です。通常価格で比べるとどれも月9万円台で、製品を替えても見積もりはほとんど動きません(Copilotの初年度割引を入れると月80,940円)。
- 動くのは配る人数です。Microsoft 365とGoogle Workspaceの対象プランには、追加の席を買わずに使えるAIチャットがすでに付いています。月に数回しか使わない人はまずそちらで試し、有料の席を使う人だけに絞ると、30人の会社でも月3万円前後から始められます(編集部試算)。
- ChatGPTとClaudeの上位シートは、標準のちょうど5倍の価格です。1人上げるとChatGPTなら月12,200円増えるので、上限で仕事が止まった人にだけ付けます。稟議には、税・初年度割引の終了・為替・従量分を足します。
「1人あたり月3,000円なら、30人で月9万円」――生成AIの稟議は、たいていこの一行から始まります。単価についてはおおむね正しい一行です。ずれるのは人数のほうで、30人全員が毎日使うわけではありません。そのうえ、いま払っているソフトにAIがすでに付いていることもあります。
この記事は、中小〜中堅企業で導入の稟議を書く方(情シス、経営企画、部門長、総務)向けに、契約前に月額を自分で計算する5つの手順をまとめたものです。どのAIが優れているかは扱いません。
最終更新: 2026年9月21日/各社の公式料金ページは同日に原文で確認しました。料金・割引条件は変わるため、契約前に必ず公式ページでご確認ください。本文の「(編集部)」は、出典にない編集部の仮定・試算・推奨を示します。
手順1 いま払っているプランに付いているAIを確かめる
日本マイクロソフトは、Copilotのページのよくある質問で「Microsoft 365 Copilot Chat は、対象の Microsoft 365 サブスクリプションを持つすべての Microsoft Entra アカウント ユーザーに追加費用なしで利用できます。」と説明しています。同じ回答によると、有料のCopilotライセンスを足すと、Microsoft Graph上の業務コンテンツを使った高度な機能が加わります。
GoogleのWorkspace料金ページでは、Business Starter(月800円・年間プラン)の機能に「Gemini アプリで AI とチャット」、Business Standard(月1,600円・年間プラン)に「Gmail、Google ドキュメント、Google Meet などの Gemini AI アシスタント」が並んでいます(いずれも税別)。AIの料金が別に付いているわけではなく、プランの中に含まれている形です。
つまり、30人全員に新しい席を買う前に、手元のAIで足りる人が何人いるかを確かめる余地があります。有料の席は、それで足りない人に絞って買えば済みます(編集部)。製品ごとの特徴はChatGPTレビュー・Geminiレビューで扱っています。
手順2 使う人を頻度で3つに分ける
- 毎日使う人――資料作成・翻訳・コード生成など、業務の主な工程で使う人。すでに個人契約や無料版で使っている人がいれば、この層の候補です。
- 週に数回使う人――会議の要約、メールの下書き、調べものの時だけ開く人。
- 月に数回以下の人――たまの翻訳や資料作成でしか触らない人。
導入前の振り分けは推測で構いません。ただ、推測だと稟議に書いておくと、あとで実績と比べやすくなります。

手順3 席の金額を出し、上位シートは止まった人にだけ付ける
30人のうち、毎日使う人が3人、週に数回が7人、月に数回以下が20人という会社を仮定します(編集部)。A〜Cの3案を、各社の表示額で計算したのが次の表です。
| 製品 | 1席の表示額(標準/上位) | A 全員30人に標準 | B 使う10人に標準 | C Bのうち3人を上位 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT Business(年額課金) | ¥3,050/¥15,250 | 91,500円 | 30,500円 | 67,100円 |
| Claude Team(年払い) | $20/$100 | $600(約94,800円) | $200(約31,600円) | $440(約69,500円) |
| Microsoft 365 Copilot Business(アドオン・年払い) | 3,148円(初年度割引で2,698円)/上位の席種は表示なし | 94,440円(初年度80,940円) | 31,480円(初年度26,980円) | ― |
| Google Workspace(Business Starter/Standard) | AIはプランに含まれ、別の席はない | 追加なし | 追加なし | ― |
人数配分とA〜Cの案は編集部の仮定で、公式資料にこの試算はありません。Claudeの円換算は1米ドル=158円の概算です(算出根拠は出典欄)。Anthropic・Microsoft・Googleの表示額は税別、ChatGPT Businessの円建て価格は料金ページに税の扱いの記載が見当たらなかったため、購入時にご確認ください。Copilotを一部の社員だけに付けられるかは、このページからは確認できませんでした。利用人数の範囲はChatGPT Businessが「従業員数2~200名のチーム向け。」、Claude Teamが「For teams of 2 to 150」、Copilotは「最大 300 ユーザーまで」です。
表の読み方は次のとおりです。AとBの差(約6万円)は人数だけで生まれ、製品による差(Aの列で通常価格どうしなら最大約3,300円、Copilotの初年度割引を入れても約1.4万円)よりはるかに大きい、ということです。
Cの上位シートは、主に使える量の違いとして説明されています。OpenAIは標準シートでも通常のテキストチャットを「無制限*」とし(注記は「ご利用にあたっては、合理的な範囲での使用と、当社の各種ポリシーへの準拠が求められます。」)、プレミアムシートを「標準シートの5倍の利用枠(5時間ごとの利用上限なし)」と説明しています。Anthropicは「Premium seats give 5x more than Standard」とし、また「there’s no fixed message count」(固定のメッセージ数はない)と書いています。編集部が確認した範囲では、何回使えるかを数量で示した記載はどちらの料金ページにもありません。ただしAnthropicの比較表では、Teamプランの Fable の欄が「50% of weekly limits*」「on premium seats」となっており、上位シートのみ(週の上限の50%まで)とされています。Fable を業務で使う人は、量と関係なく上位シートの対象です(編集部)。
数量で比べられない以上、上位シートは「標準で上限に当たって仕事が止まった人」に後から付けるのが確実です(編集部)。OpenAIの表記からは標準シートに5時間ごとの利用上限があると読めますが、どの機能が対象かは料金ページからは分からないため、止まった人が出たら、どの機能で上限に当たったかを記録してから判断します(編集部)。1人上げるごとに、ChatGPTなら月12,200円(15,250−3,050)、Claudeなら月$80(約12,600円)増えます。まずBで始め、止まった人だけをCに移す順番なら、この増額に理由を付けられます。両社とも席種の混在を認めており、OpenAIは「シートタイプを自由に組み合わせる」、Anthropicは「Mix and match seat types」と書いています。
手順4 従量分を「件数×トークン×単価」で出す
従量の費用が出てくる場面は3つあります。APIで業務システムに組み込む場合、Claude Enterpriseのように席と従量を組み合わせる場合(Anthropicは「Seat price + usage at API rates」、FAQで「$20 per seat per month plus usage billed at API rates」と説明)、席の上限を超えて使い続ける場合です。最後のケースについてAnthropicは、上限に達したときの選択肢の1つに「turn on usage credits to keep working at standard API rates」を挙げています。OpenAIも「Enterprise と Business では、より多く利用するためのクレジットを追加購入できます。」としています。このほか、日本マイクロソフトはCopilot Chatについて「従量課金制で使えるエージェント」も挙げています。
計算の例です。問い合わせメールの要約を1日200件、月20日行い、1件あたり入力3,000トークン・出力500トークンかかると仮定します(編集部)。月の合計は、入力1,200万トークン・出力200万トークンです。
| モデル | 単価(100万トークンあたり 入力/出力) | 月額(入力12×単価+出力2×単価) | 円換算の目安 |
|---|---|---|---|
| Fable 5.1 | $10/$50 | $220 | 約34,800円 |
| Opus 5 | $5/$25 | $110 | 約17,400円 |
| Sonnet 5 | $2/$10 | $44 | 約7,000円 |
| Haiku 4.5 | $1/$5 | $22 | 約3,500円 |
同じ仕事でも、モデルの選び方で月額が10倍変わります。同ページには「Save 50% with batch processing.」の案内もあります。トークン数は文面の長さで大きく変わるため、この表の数字をそのまま稟議に使わず、自社の文面で少量試してから式に入れてください。
従量を使うなら、支出の上限を設定できるプランかも確かめます。Anthropicの機能比較表では「User and organizational level spend controls」がTeam・Enterpriseで「Yes」、Free・Pro・Maxでは「No」です。OpenAIはChatGPT Businessの含まれる内容に「利用状況の分析と支出管理」を挙げています。
手順5 税・年契約・初年度割引を足して稟議の数字にする
税――Anthropicは「Prices shown don’t include applicable tax.」、日本マイクロソフトは「価格には消費税は含まれていません。」、Googleは「価格はユーザー 1 人あたりの月額料金です(税別)」と明記しています。ChatGPT Businessは手順3の表注のとおり、購入時に確認が要ります。
年契約――ChatGPT Businessの標準シートは、年額課金なら月3,050円、月額課金なら月3,850円です。B案の10人なら差は年96,000円ですが、安い年額課金には期間の約束が付きます。Claude Teamも年払いなら$20、月払いなら$25で、年払いについてAnthropicは「billed once up front for the year」(1年分を前払いで一括請求)としています。Anthropicの機能比較表では「Adding seats midterm」(期間途中の席追加)がTeam・Enterpriseとも「Yes」です。一方、期間中に減らせるかはこの表からは読み取れないため、販売元に確認してください。
初年度割引――日本マイクロソフトはCopilotアドオンを通常3,148円、割引後2,698円と表示し、注記で「この割引キャンペーンは、2026 年 7 月 1 日から 2026 年 12 月 31 日まで利用できます。」「年間契約が必要で、プロモーション価格は初年度にのみ適用されます。このサブスクリプションは自動的に更新され、年ごとの定期請求の対象となります。」と説明しています。差は1人あたり月450円なので、10人なら年54,000円、30人なら年162,000円(いずれも税別)、2年目に増えます。同じ注記には「Copilot およびアドオンが含まれる Microsoft 365 プランでは、オファーや割引の内容が異なる場合があります。」ともあり、バンドル版(Business Standardとの組み合わせで3,523円など)の条件は別に確認が要ります。Copilot Business アドオン自体が「対象のビジネスプランを利用している既存の Microsoft 365 顧客のみ」利用できるとされ、割引の申し込みは2026年12月31日までです。
日本の読者にとっての意味
1つ目は、円建てと米ドル建てが混ざることです。ChatGPT Business・Copilot・Google Workspaceは日本語ページに円建ての価格を載せていますが、Claudeの法人プランは米ドル建てです。米ドル建ての契約は、同じ席数でも為替で請求額が動きます。手順3のC案(月$440)なら、1米ドルが10円動くと年52,800円変わります。年度予算の稟議には、この感応度を1行添えておくと安全です。
2つ目は、年度と契約年がずれることです。多くの日本企業は4月始まりの年度で予算を組みますが、AIの年契約は契約した月から1年です。Copilotの割引は「初年度にのみ適用」なので、9月に契約すれば翌年の9月以降、つまり次の年度の途中で単価が上がります。単価が上がる月を、契約時にカレンダーへ書き込んでおくのが確実です。
3つ目は、解約するとデータがどうなるかです。日本マイクロソフトは、Microsoft 365 のサブスクリプションをキャンセルすると「関連するデータがすべて削除されます。」と注記しています。一方Anthropicは、FAQで「Canceling doesn’t delete your data.」と書いています。同じ「解約」でも扱いは製品ごとに違い、費用を止める判断がデータを失う判断と重なることがあります。契約前に確認してください。
- いま払っているMicrosoft 365/Google Workspaceのプランで、追加費用なしに使えるAIを確認した
- 名簿を「毎日使う/週に数回/月に数回以下」に振り分け、推測であることを稟議に書いた
- 「全員に標準」と「使う人だけに標準」の2案の月額を出した
- 上位シートは、標準で止まった人に後から付ける前提にした
- 従量を使う場合、モデルを決め、少量で試したトークン数で月額を出した
- 表示額が税別か税込かを確かめ、期間中に席を減らせるかを販売元に確認した
- 初年度割引の対象条件・申込期限・終了月と2年目の金額、米ドル建てなら為替10円の影響額を稟議に添えた
よくある質問
- OpenAI「料金 | ChatGPT」 https://chatgpt.com/ja-JP/pricing/(2026年9月21日確認/「ビジネス・エンタープライズ向け」タブ。標準シート¥3,050・プレミアムシート¥15,250(年額課金)と月額課金の額、「標準シートの5倍の利用枠(5時間ごとの利用上限なし)」、通常のテキストチャット「無制限*」と注記、「シートタイプを自由に組み合わせる」、「利用状況の分析と支出管理」、「従業員数2~200名のチーム向け。」、追加クレジット)
- Anthropic「Plans & Pricing」 https://claude.com/pricing(2026年9月21日確認・英語版/Team席種と価格、Mix and match seat types、Enterpriseの席+従量、Premium seatは標準の5倍、固定のメッセージ数はない、利用クレジット、支出管理の提供範囲、Adding seats midterm、モデル別API単価、バッチ処理50%、税別注記、解約時のデータの扱い。日本語設定のブラウザでは claude.com/ja/pricing に転送されます)
- Google「柔軟な価格プラン オプションの比較」 https://workspace.google.com/intl/ja/pricing.html(2026年9月21日確認/Business Starter 800円・Standard 1,600円、税別表示、各プランのGemini)
- 日本マイクロソフト「ビジネス向け Microsoft 365 Copilot」 https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot/business(2026年9月21日確認/アドオン3,148円と割引価格2,698円、割引の期間と初年度限定の条件、バンドル価格、対象プランのライセンスが別途必要、Copilot Chatは追加費用なし、税別注記、解約時のデータ削除。旧URL microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/business から転送されます)
- 欧州中央銀行「Euro foreign exchange reference rates」 https://www.ecb.europa.eu/stats/eurofxref/eurofxref-daily.xml(2026年9月21日取得/2026年9月18日の参考レート EUR/USD 1.1460、EUR/JPY 180.94。ECBは米ドル/円を直接公表していないため、この2つから編集部が1米ドル=157.89円を算出し、158円として概算)

